シロアリ駆除の方法と費用相場|サインから業者選びまで

シロアリ駆除は、サインを見つけたら早めに床下の点検を受けるのが基本です。そのうえで、工法と費用・保証を複数の業者で比べて決めると、損をしにくくなります。費用は1㎡あたり2,000〜3,000円前後が目安とされることが多く、業者や工法で変わります。
薬剤の効果は約5年が目安です(公益社団法人日本しろあり対策協会)。
春先に羽アリを見かけたり、床がふかふかしたりすると、「家は大丈夫だろうか」と不安になりますよね。本当にシロアリなのか、いくらかかるのか、自分で何とかできないのか。悪い業者に当たらないかも気になるところです。
この記事では、害虫駆除.JP編集部が、駆除を考えるときの判断材料を順番にまとめました。
- 家に被害を出すシロアリの種類と特徴
- 自分で見分けられる5つのサイン
- バリア工法とベイト工法の違いと選び方
- 広さと工法で比べる費用の目安
- 自分でできる範囲と、見積もりで確かめる点
知識がほとんど無い方でも読み進められるよう、専門用語はかみくだいて説明します。気になる章から読んでいただいても大丈夫です。
シロアリ駆除が必要なのはどんな家?被害と種類の基本

シロアリ駆除が必要になるのは、木造に限らず、床下や壁の中に木材がある家すべてです。シロアリは湿気と木材があれば住みつくため、築年数や建て方だけで「うちは大丈夫」とは言い切れません。
ここでは、家に被害を出すシロアリの種類と、意外と知られていない体の特徴や食べるものを整理します。相手を知っておくと、のちほど紹介するサインや駆除の方法も理解しやすくなります。
家を食べるシロアリは主に2種類
日本で家に被害を出すシロアリは、主にヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。どちらも土の中に巣を作り、地面から床下の木材へと入りこんできます。
ヤマトシロアリは、寒さの厳しい一部の地域を除いて、ほぼ全国に住んでいます。湿った木を好むため、被害は床下や浴室・台所・洗面所などの水回りに集まりやすいのが特徴です。
イエシロアリは温暖な地域に多い種類です。1つの巣の数が多く、食べる速さも範囲も大きいのが特徴です。床下から柱を伝って、天井裏まで被害が及ぶことがあります。
種類によって、被害の出方は違います。駆除の方法を考えるうえでも、どの種類かを知ると役に立ちます(出典:公益社団法人日本しろあり対策協会)。
このほか、乾いた木に住むアメリカカンザイシロアリもいます。輸入家具などと一緒に入ってきたとみられ、各地で見つかっています。土を通らず、家具や柱の中で暮らすのが、ほかの2種類との大きな違いです。
- ヤマトシロアリ:ほぼ全国。湿った木を好み、床下や水回りに被害が出やすい
- イエシロアリ:温暖な地域に多い。被害が早く広く、天井裏まで及ぶことがある
- アメリカカンザイシロアリ:乾いた木に住む。家具や柱の中で暮らす
シロアリはアリではなくゴキブリに近い虫
名前に「アリ」と付いていますが、シロアリはアリの仲間ではなく、ゴキブリに近い虫です。見た目が似ているため、羽アリを見ても「ただのアリだろう」と見過ごされることがあります。
見分けるときは、体の形と羽を見るのが手がかりになります。アリは胸と腹の間がくびれていますが、シロアリの体にはくびれがありません。羽アリになったときも、シロアリは4枚の羽がほぼ同じ大きさです。アリは前の羽が後ろの羽より大きいので、ここで区別できます。
また、シロアリは季節を問わず1年中活動しています。羽アリが飛ぶのは一時期だけですが、その間も床下では食べ続けています。冬だから心配いらない、というわけではない点を覚えておくと安心です。
- 胸と腹の間にくびれが無ければ、シロアリの可能性がある
- 4枚の羽がほぼ同じ大きさなら、シロアリの可能性がある
- 可能なら写真を撮り、点検を頼むときに見せられるようにする
木材以外にも断熱材などを食べる
シロアリが食べるのは木材だけではなく、発泡系の断熱材(発泡スチロールのような素材)を好んでかじることもあります。食べて栄養にするというより、巣を広げる通り道として穴をあけていくイメージです(出典:公益社団法人日本しろあり対策協会)。
床下の断熱材は、ふだん目に入らない場所にあります。そのため、断熱材の中をシロアリが進み、気づいたときには土台や柱まで被害が広がっていた、ということも起こりえます。
また、段ボールや紙類など、木からできた身近なものも狙われやすいとされています。物置や床下に段ボールを置きっぱなしにしていると、シロアリを呼び寄せるきっかけになることがあります。家の中だけでなく、家の周りに何を置いているかも見直してみてください。
断熱材の被害は、床下に入って目で見ないと分かりにくいものです。業者に床下の点検を頼むときは、木部だけでなく断熱材の状態も見てもらえるかを確かめておくと、見落としを減らせます。
木造以外の家も無縁ではない
鉄骨造やコンクリート造の家でも、床や壁の下地に木材が使われていれば、シロアリの被害を受けることがあります。骨組みが木でなくても、床板・根太(ねだ=床板を支える角材)・ドア枠などには木が多く使われているためです。
とくに1階の床が木でできている家や、浴室の周りに木の下地がある家は、木造の家と同じように気を配りたいところです。建物の構造よりも、木と湿気がそろう場所があるかどうかで考えると分かりやすくなります。
シロアリは、コンクリートのわずかな隙間や配管のまわりから入りこみます。基礎のひび割れや、床下に通る水道管・排水管のすき間は、とくに入り口になりやすい場所です。
- 浴室やキッチンなど、水回りの床下
- 基礎や土間コンクリートのひび割れ
- 配管が床を貫いている部分のすき間
- 玄関の上がり框(かまち)やドア枠など木の部分
「鉄骨だから大丈夫」と考える前に、木が使われている場所を思い浮かべてみてください。あわせて、湿気のたまりやすい場所も確かめておくと安心です。気になる点があれば、次の章で紹介するサインと照らし合わせて確かめるのがおすすめです。
シロアリ駆除が必要なサインは?自分で見分ける5つの目安

シロアリ駆除が必要かどうかは、家の周りに出る5つのサインでおおよそ見分けられます。1つでも当てはまれば、早めに床下の点検を受けるのが安心です。
シロアリは光や乾いた空気を嫌い、木の中や土の中で暮らします。そのため、姿そのものを見かけることはあまりありません。気づくきっかけは、虫が残した「跡」であることがほとんどです。
ここでは、専門の道具がなくても確かめやすい目安を順に紹介します。休日に懐中電灯を持って、家の周りを一回りするつもりで読んでみてください。
- 基礎や床下に土の筋(蟻道)がある
- 春から初夏に羽アリが大量に出た
- 窓辺などに羽だけがたくさん落ちている
- 小さな粒のようなフンが積もっている
- 床のきしみや柱をたたいた音が変わった
床下や基礎に土の筋(蟻道)がある?
蟻道(ぎどう)は、シロアリが土で作る細いトンネルのことです。基礎に土の筋が伸びていたら、もっとも分かりやすいサインの一つです。
シロアリは乾燥に弱いため、地面から木材まで移るときに土の通り道を作ります。太さは鉛筆くらいのことが多く、茶色い筋が上へ向かって続きます。
見つかりやすい場所は、家の外まわりの基礎の立ち上がりです。床下では、床を支える短い柱である束(つか)に沿って伸びることもあります。玄関の土間や浴室の周りなど、湿りやすい所もあわせて見てみましょう。
土の筋を見つけたら、端を少しだけ崩して中をのぞきます。白い小さな虫が動いていれば、今も活動しているとみてよいでしょう。中が空なら古い跡の場合もありますが、近くに別の通り道がないかは確かめておきたいところです。
確かめたあとは、写真を撮っておくと点検のときに説明がしやすくなります。
春から初夏に羽アリが大量に出た?
羽アリが家の中や周りで一度にたくさん出たときは、近くに巣がある目安になります。羽アリが出る時期と時間帯で、シロアリの種類もある程度しぼれます。
羽アリは、巣が大きく育ったときに新しい巣を作るために飛び立つ虫です。日本しろあり対策協会の説明では、ヤマトシロアリは4〜5月の昼に飛ぶとされています。イエシロアリは6〜7月の夜で、灯りに集まる性質があります(日本しろあり対策協会)。
羽アリそのものを見逃しても、窓辺や照明の下、浴室の床に羽だけが大量に落ちていることがあります。シロアリの羽はとれやすく、飛んだあとに落とすためです。羽が4枚ともほぼ同じ大きさなら、シロアリの可能性が高まります。
- 見つけた日付と時間帯(昼か夜か)
- 見つけた場所(浴室・窓辺・玄関など)
- おおよその数と、羽だけが落ちていたか
- 虫や羽の写真(定規を添えると大きさが伝わる)
小さな粒状のフンが積もっている?
家具や柱の下に、砂粒のようなものが少しずつ積もっていたら注意したいサインです。乾いた木に住むアメリカカンザイシロアリは、フンを外に出す点が特徴です。
アメリカカンザイシロアリは、木の表面に小さな穴を開けます。そこから1mm前後の俵(たわら)形のフンを外へ押し出します(日本しろあり対策協会)。床下だけでなく、天井近くの木材や家具から見つかることもあります。
粒がそろっていて、掃除をしてもまた同じ場所にたまる場合は、上にある木材の中で食べ進めているかもしれません。ふつうのほこりや木くずとの違いが分かりにくいときは、粒を拡大して写真に撮っておくと、業者に見てもらうときに役立ちます。
このシロアリは土の中ではなく木の中で暮らすため、床下の薬剤だけでは届きにくいことがあります。見つけた場合は、専門の業者に種類を確かめてもらうのが近道です。
床のきしみや柱をたたいた音が変わった?
床や柱の感触や音の変化は、木材の内側が食べられているサインのことがあります。表面はきれいでも、中が空洞になっている場合があるためです。
シロアリは木の表面を薄く残し、内側から食べ進める性質があります。そのため、見た目だけでは被害に気づきにくいのです。次のような変化がないか、ふだんの暮らしの中で気にかけてみてください。
- 柱や敷居をたたくと、コンコンと軽い空洞の音がする
- 床を歩くと、ふかふかと沈む感じがする
- ドアやふすまが急に閉まりにくくなった
- 床が以前よりきしむようになった
たたいて確かめるときは、手の指の関節やドライバーの柄で軽くたたく程度にします。ほかの場所と聞き比べると違いが分かりやすくなります。強くたたいたり、木を削ったりはしないようにしましょう。
ただし、床のきしみやドアの不具合は、湿気や家の経年でも起こります。音の変化だけで決めつけず、ほかのサインと合わせて考えるのが大切です。
シロアリを見つけたときにしてはいけないことは?
シロアリを見つけても、慌てて自分で退治しようとしないことが大切です。殺虫スプレーをかけたり巣を壊したりすると、かえって被害が広がることがあります。
目に見えるシロアリは、群れのごく一部にすぎません。スプレーで追い払うと、残りの群れが危険を感じて散り、別の場所に巣を作ることがあります。そうなると、どこに巣があるのかが分かりにくくなり、駆除に手間がかかってしまいます。
- 殺虫スプレーを直接かける
- 蟻道や巣を大きく壊す
- 被害がありそうな木材をはがして捨てる
- 市販の薬剤を床下に広くまく
まずは写真を撮り、見つけた場所と日付をメモしておきましょう。そのうえで、床下の点検を業者に相談するのが落ち着いた進め方です。記録があると、点検のときに被害の範囲をしぼりやすくなります。
シロアリ駆除の方法は?バリア工法とベイト工法の違い

シロアリ駆除の方法は、主に「バリア工法」と「ベイト工法」の2つです。すぐに効かせたいならバリア工法、薬剤のにおいを避けたいならベイト工法が選ばれやすい傾向があります。
どちらが優れているというより、家の状態や暮らし方との相性で選ぶものです。ここでは、それぞれの仕組みと向き不向き、業者に頼んだときの作業の流れを順に見ていきます。費用の目安は次の章でくわしく取り上げます。
バリア工法は床下に薬剤をまいて守る方法
バリア工法は、床下の土や木材に薬剤をまいたり、しみこませたりして、シロアリを寄せつけない層をつくる方法です。即効性があり、作業は1日ほどで終わることが多いのが特徴です。
作業では、作業員が床下にもぐり、土の表面に薬剤を散布します。土台や柱の根元などの木部には、表面に薬剤を吹き付けます。小さな穴をあけて、薬剤を注入(ちゅうにゅう=中に流し込むこと)することもあります。
床下にいるシロアリを直接退治しながら、新たに入ってくるのも防ぐため、被害がすでに出ている家で選ばれることが多い方法です。一方で、床下の点検口が無い家や、床下が狭くて人が入れない家もあります。その場合は、床や基礎に穴をあけて作業することがあります。
- 床下の土と木部に薬剤を散布・注入する
- 効き目が早く、作業は1日ほどで終わることが多い
- 被害が出ている家の駆除と予防を一度に行える
- 床下に入れない家は穴あけが必要になる場合がある
ベイト工法は毒えさで巣ごと退治する方法
ベイト工法は、家の周りに毒えさ入りの容器を埋め、シロアリに食べさせて巣ごと退治する方法です。食べたシロアリが巣に持ち帰り、仲間に広げることで効果が出る仕組みです。
容器は「ステーション」と呼ばれ、建物を囲むように一定の間隔で地面に埋めます。シロアリがえさを見つけて食べ始めると、巣の中で毒が少しずつ広がり、巣全体が弱っていきます。
床下に薬剤を大量にまかないため、においが気になる方や、小さなお子さん・ペットがいる家で選ばれることがあります。ただし、効き目が出るまでに数か月かかるのが一般的です。その間も、業者による点検やえさの補充が続きます。すぐに被害を止めたい場面では、物足りなく感じることもあるでしょう。
また、ステーションは庭や家の周りの地面に埋めるため、設置する場所が要ります。家の周りがすべてコンクリートで覆われている場合は、設置の方法を業者に相談することになります。点検の回数や、えさを補充する頻度も業者によって異なるため、契約の前に確かめておくと安心です。
- 家の周りにステーションを埋めて毒えさを置く
- 食べたシロアリが巣に持ち帰り、巣全体に効かせる
- 効き目が出るまで数か月かかることが多い
- 設置後も点検とえさの補充が続く
2つの工法をどう選ぶか
工法は「被害の進み具合」「家の造り」「暮らし方」の3つを軸に選ぶと考えやすくなります。迷ったときは、床下の点検を受けて業者に両方の案を出してもらうのが近道です。
| 比べる点 | バリア工法 | ベイト工法 |
|---|---|---|
| 効き目が出るまで | 早い | 数か月かかることが多い |
| 作業の期間 | 1日ほど | 設置後も点検・補充が続く |
| 薬剤のにおい | 出ることがある | 気になりにくい |
| 向いている家 | 被害が出ていて早く止めたい家 | においを避けたい家、床下に入りにくい家 |
なお、どちらの工法でも、薬剤の効果は約5年が目安とされています。新築時に行う防蟻処理(ぼうぎしょり=シロアリを防ぐ薬剤の処理)も同じです。保証の期間も5年が一般的です(公益社団法人日本しろあり対策協会)。
つまり、一度駆除すれば終わりではありません。約5年ごとに見直す前提で、続けやすい工法を選ぶことが大切です。
業者によっては、床下はバリア工法、家の周りはベイト工法というように、2つを組み合わせる案を出すこともあります。提案された理由を聞き、自分の家に合っているかを考えてみてください。
- 春に羽アリが出て、床下に蟻道があった家:バリア工法で早めに被害を止める
- 赤ちゃんがいて薬剤のにおいが心配な家:ベイト工法で時間をかけて退治する
- 新築から5年がたち、被害は見当たらない家:予防として工法と費用を見比べる
業者に頼んだときの作業の流れ
業者に頼んだ場合は、調査から定期点検まで、おおむね決まった順番で進みます。流れを先に知っておくと、どこで何を確かめればよいかが分かります。
当日は、床下の点検口の周りを片付けておくと作業がスムーズです。点検口は、台所や洗面所の床下収納にあることが多いです。明日からできる準備として、まずは点検口の場所を確かめておくとよいでしょう。
また、洗濯物や食器、ペットの居場所など、作業中の過ごし方は事前に聞いておくと安心です。
シロアリ駆除の費用相場はいくら?広さと工法で比べる

シロアリ駆除の費用は、床下の面積に1㎡あたりの単価をかけて決まることが多いです。単価の目安は、1㎡あたり2,000〜3,000円前後とされることが多いです。30坪ほどの家なら、20万〜30万円前後が一つの目安になります。
ただし、金額は業者・薬剤・工法・家の状態で変わります。ここでは、相場の考え方と、費用が上がりやすい場面、負担を抑える工夫を順に見ていきます。
費用は「床下の面積×単価」で決まることが多い
バリア工法(床下に薬剤をまいて守る方法)の費用は、「施工する面積(㎡)×1㎡あたりの単価」で計算されるのが一般的です。家の延べ床面積ではなく、1階の床下の面積をもとにすることが多い点を押さえておきましょう。
単価は、1㎡あたり2,000〜3,000円前後が目安とされることが多いです。とはいえ、使う薬剤の種類や業者の方針、地域によって幅があります。この単価はあくまで比べるための物差しとして使い、断定的な「正解の金額」とは考えないほうが安心です。
見積もりを受け取ったら、まず面積と単価が分けて書かれているかを見ます。「一式」とだけ書かれていると、ほかの業者と比べにくくなります。面積と単価が分かれば、自分でも電卓で確かめられます。
面積の測り方も、業者によって少しずつ違います。玄関や浴室の下など、作業しない部分を除くかどうかで、同じ家でも数字が変わることがあります。気になるときは、どの部分を何㎡として数えたのかを聞いてみましょう。
広さ別の費用の目安
坪数から費用の目安を出すときは、1坪を約3.3㎡として㎡に直し、単価をかけて計算します。下の表は、1㎡あたり2,000〜3,000円で計算したときの目安です。
| 1階の床下の広さ | ㎡に直すと | 費用の目安(単価から計算) |
|---|---|---|
| 20坪 | 約66㎡ | 約13万〜20万円 |
| 30坪 | 約99㎡ | 約20万〜30万円 |
表の金額は、床下に入って作業できる、ごく標準的な場合の計算です。被害の大きさや追加の作業によって、実際の見積もりはこれより上下します。
- 登記の書類や間取り図で1階の床面積を調べる
- 坪で書かれていれば3.3をかけて㎡に直す
- ㎡に2,000円と3,000円をそれぞれかける
- 出た2つの金額を、見積もりと比べる物差しにする
ベイト工法の費用は初期費用と維持費で考える
ベイト工法(毒えさで巣ごと退治する方法)は、最初の設置費用と、毎年の点検や補充の費用を合わせて考えることが大切です。30坪の家で20万〜40万円ほどの例がありますが、これは目安の一つにすぎません。
ベイト工法では、家の周りに埋めた容器を定期的に点検し、えさを補充します。そのため、設置したあとも維持の費用が続くのが特徴です。最初の金額だけを見てバリア工法と比べると、数年後に「思ったより高くついた」と感じることがあります。
比べるときは、5年ほどの期間で合計がいくらになるかを、業者に出してもらうと分かりやすいです。点検の回数や、えさの補充が料金に含まれているかも、あわせて聞いておきましょう。
一方で、ベイト工法には床下での薬剤散布が要らないという良さがあります。小さな子どもやペットがいて、薬剤のにおいが気になる家では、多少の維持費がかかっても選ぶ価値があるかもしれません。金額だけでなく、暮らし方との相性も含めて考えてみてください。
費用が上がりやすいケースと追加の費用
見積もりが目安より高くなるのは、駆除そのものとは別に、補修や設備の工事が加わる場合が多いです。次のような作業は、別料金として見積もりに足されやすい項目です。
- 食べられた木材の交換や補修
- 床下に入れない場合の、床や基礎の穴あけ
- 湿気を防ぐための防湿シートの敷き込み
- 床下の換気扇の取り付け
追加の作業は、点検してみて初めて分かることも少なくありません。最初の見積もりに含まれていない作業が出たら、着手する前に金額を確かめるよう頼んでおくと安心です。
被害が柱や土台まで進んでいると、補修の費用が駆除の費用を上回ることもあります。サインに気づいたら早めに点検を受けるほうが、結果として負担を抑えやすくなります。
また、防湿シートや換気扇は、湿気が多い家には役立つ一方、すべての家に要るわけではありません。勧められたときは、なぜ自分の家に必要なのかを聞いてから決めましょう。
費用を抑えるための工夫
費用を抑えるうえで効くのは、複数の見積もりを比べることと、税金の仕組みを知っておくことです。駆除の費用は、雑損控除(ざっそんこうじょ)の対象になることがあります。雑損控除とは、災害などの損失を税金から差し引く仕組みです。
国税庁の説明では、シロアリなどの害虫による損害も対象に含まれます。くわしくは国税庁の雑損控除の説明ページで確かめられます。ただし、被害が出る前の予防だけの費用は対象外です。領収書や見積書は捨てずに残しておきましょう。
見積もりを比べる手間は、一社ずつ問い合わせると意外にかかります。下の手順のように、目安を先に出してから相談すると、話が早く進みやすくなります。
安さだけで選ぶと、保証や点検が手薄になることもあります。金額と中身のバランスを見て、納得できる業者を選ぶことが、長い目で見た節約につながります。
シロアリ駆除は自分でできる?市販品でできる範囲と限界

シロアリ駆除を自分でできるのは、目に見える範囲の応急処置までです。床下全体や巣そのものの駆除は、市販品だけでは難しいと考えておくと安心です。
ここでは、市販品で何ができるのか、どんな手順で使うのかを順に紹介します。あわせて、自分で済ませないほうがよいケースと、今日から始められる予防の習慣もまとめました。
自分でできるのは見える範囲の応急処置まで
市販品でできるのは、見つけたシロアリや被害のあった木部への部分的な対処です。市販品は、業者が使う薬剤より効き目の続く期間が短いことが多いです。そのため、長く家を守る対策というより、急場をしのぐ手段と考えるのが現実的です。
ホームセンターなどで手に入る市販品は、主に次の3つのタイプに分かれます。それぞれ得意なことが違うので、目的に合わせて選びましょう。
- 毒えさタイプ(ベイト剤):シロアリに食べさせ、仲間へ広げる
- スプレータイプ:見えているシロアリにかけて退治する
- 木部に塗るタイプ:木材にしみ込ませて食害を防ぐ
どのタイプも、床下の奥や壁の中など手の届かない場所には届きません。見えている被害が小さくても、見えない所で広がっている場合があります。応急処置をしたあとも、様子を見続けることが大切です。
市販品には、思い立ったその日に試せる手軽さがあります。一方で、効き目が切れるたびに買い足す手間がかかります。手軽さと手間の両方を比べたうえで、使うかどうかを決めると納得しやすくなります。
市販品を使うときの手順と準備
市販品を使うときは、まず身を守る道具をそろえてから作業を始めます。薬剤が肌や目に付かないよう、ゴム手袋・マスク・ゴーグルを用意しましょう。床下や家具の裏は暗いので、懐中電灯もあると作業がしやすくなります。
毒えさタイプを使う場合の、おおまかな流れは次のとおりです。細かい使い方は商品ごとに違うため、説明書もあわせて確かめてください。
- 勝手口の柱の根元に土の筋を見つけたら、近くに毒えさを置く
- 置いた日と場所をスマホで撮り、メモに残しておく
- 1か月後に同じ角度で撮り、食べた跡を比べる
毒えさは効き目が出るまで時間がかかります。すぐに変化が見えなくても、置いた場所を動かさずに待つのがコツです。
スプレーを使うときは、見えているシロアリにだけ使う応急の手段と考えてください。巣のありそうな場所に向けて吹きかけると、シロアリが散ってしまうことがあります。散ったシロアリが、別の場所に新しい巣を作るおそれもあります。
作業のあとは手を洗い、使った手袋やマスクは片づけておきましょう。小さな子どもやペットがいる家では、毒えさを置く場所にも気を配ってください。
自分での駆除が向かないケース
被害が広い場合や、種類や巣の場所が分からない場合は、自分での駆除は向きません。次のような状態なら、市販品で粘るより床下の点検を頼むほうが早く安心につながります。
- 床下全体に被害が広がっている
- 乾いた木に住むアメリカカンザイシロアリが疑われる
- 巣が複数あるとみられる
- 市販品で対策しても、シロアリが出続ける
- 床下が狭く、自分では入れない
とくにアメリカカンザイシロアリは、木の中に巣を作り、家のあちこちに広がることがあります。毒えさや床下への散布では届きにくいため、早めに専門家へ見てもらうのが近道です。
無理に床下へ入ると、配管や断熱材を傷めたり、けがをしたりするおそれもあります。迷ったときは、まず点検だけでも頼んでみると判断しやすくなります。
業者がどんな方法で駆除するのかは、バリア工法とベイト工法の違いを説明した章で紹介しています。かかる金額の目安は、費用相場の章で広さ別にまとめました。自分でやる場合と比べるときの材料にしてください。
自分でできる予防の習慣
シロアリの予防は、家の周りを乾いた状態に保ち、えさになる物を置かないことが基本です。お金をかけずに続けられる習慣が、被害を遠ざける一番の土台になります。
- 家の周りに木材や段ボールを置きっぱなしにしない
- 基礎の通気口を、植木鉢や物でふさがない
- 水漏れや雨漏りに気づいたら、早めに直す
シロアリは湿った木を好むため、水回りの不具合は放っておかないことが大切です。物置の裏や縁の下に、古い板を立てかけていないかも見直してみましょう。
月に一度、家の外周を一回りして基礎や通気口を眺めるだけでも、異変に気づきやすくなります。こうした習慣と業者の定期点検を組み合わせると、無理なく家を守れます。
シロアリ駆除の業者はどう選ぶ?見積もりで確かめる点

シロアリ駆除の業者は、複数社の見積もりを同じ条件で比べて選ぶのが基本です。金額だけでなく、工法・保証・点検の中身まで書面で確かめると、後悔しにくくなります。
シロアリ駆除は、何度も頼むものではありません。そのため、相場や作業の中身が分からないまま、最初の1社で決めてしまう方も少なくありません。この章では、比べ方と見積書の見方、保証の確かめ方、注意したい業者の特徴を順にお伝えします。
見積もりは2〜3社から取って比べる
見積もりは、2〜3社から取って比べるのがおすすめです。1社だけでは、その金額や工法が妥当かどうかを判断する材料がありません。同じ家でも、業者によって床下の面積の測り方や、すすめる工法が違うことがあります。
比べるときは、できるだけ同じ条件で見積もってもらうことが大切です。たとえば「バリア工法で床下全体」のように、範囲と工法をそろえて伝えます。条件がそろっていれば、単価や保証の差がはっきり見えてきます。
点検の日には、できれば家族のだれかが立ち会いましょう。床下の様子を一緒に見ながら説明を聞くと、業者ごとの説明の違いにも気づきやすくなります。質問にていねいに答えてくれるかどうかも、比べる材料の一つです。
とはいえ、何社にも自分で連絡するのは手間がかかります。害虫駆除.JPでは、複数の業者にまとめて無料で見積もりを頼めます。比べる手間を減らしたい方は、こうした一括見積もりを使うのも一つの方法です。
見積もりを取ったからといって、その業者に頼む決まりはありません。納得できなければ、断ってもかまいません。断るときは「ほかと比べて決めました」と短く伝えれば十分です。
- 家の築年数と、木造かどうか
- おおよその延べ床面積(坪数)
- 羽アリや蟻道など、見つけたサインと場所
- 希望する工法(決まっていなければ相談したい旨)
- 過去に防蟻処理をした時期
見積書で確かめたい5つの項目は?
見積書は、合計金額だけを見て決めないことが大切です。中身が細かく書かれた見積書ほど、あとから「聞いていない費用」が出にくくなります。次の5つの項目がそろっているかを確かめましょう。
| 項目 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 施工面積(㎡) | 何㎡で計算したか。家の広さと大きくずれていないか |
| 単価 | 1㎡あたりいくらか。一式表記だけになっていないか |
| 工法と薬剤の名前 | バリア工法かベイト工法か。どの薬剤を使うか |
| 追加料金の条件 | 補修や穴あけなど、どんな時に別料金になるか |
| 保証期間 | 何年の保証か。どこまでが保証の対象か |
工法の費用の目安は、前の章で紹介した金額と照らし合わせてみてください。極端に安い、または高い見積もりは、その理由を聞いておくと安心です。
特に注意したいのが「一式」とだけ書かれた見積書です。面積や単価が分からないと、ほかの業者と比べることができません。分からない項目があれば、遠慮せずに説明を求めましょう。
薬剤の名前も、聞いておくと安心です。においが気になる家族やペットがいる場合は、その旨を伝えて相談できます。丁寧に答えてくれるかどうかも、業者を見る目安になります。
保証と定期点検の中身はどう確かめる?
シロアリ駆除の保証は、5年が一般的とされています。薬剤の効果も約5年が目安とされ、保証の期間はこれに合わせて決められることが多いです。(参考:公益社団法人日本しろあり対策協会)
ただし、同じ「5年保証」でも、中身は業者によって違います。再びシロアリが出たときに、どこまで無料で対応してくれるのかが大切です。口頭の説明だけで済ませず、保証書などの書面で受け取りましょう。
- 再発したときの再施工は無料か
- 被害を受けた木材の補修は保証に含まれるか
- 定期点検はあるか。何年ごとに、費用はかかるか
- 保証が無効になる条件(増改築など)は何か
- 業者が廃業したときの扱いはどうなるか
定期点検があると、再発の早期発見につながります。ベイト工法では、点検とえさの補充が続くため、その費用も含めて確かめておくと安心です。
保証書は、次の防蟻処理を考える約5年後まで大切に保管しておきましょう。施工日や使った薬剤が分かれば、次に頼む業者にも伝えやすくなります。
注意したい業者の特徴は?
シロアリ駆除では、不安をあおって契約を急がせる業者に注意が必要です。その場で決めるよう迫られたら、いったん持ち帰って、ほかの業者と比べることをおすすめします。次のような特徴が見られたら、慎重に考えましょう。
- 無料点検のあと、その場で契約を急がせる
- 「今日だけ」の大きな値引きをすすめる
- 「家が倒れる」など、不安をあおる説明が多い
- 床下の写真や被害の様子を見せてくれない
- 見積書が「一式」だけで、内訳が分からない
突然訪ねてきて「近くで工事をしている」と無料点検をすすめる例もあります。点検を受ける場合でも、床下の写真を撮って見せてもらいましょう。本当に被害があるのかを、自分の目で確かめることが大切です。
業者選びの目安の一つに、資格者がいるかどうかがあります。公益社団法人日本しろあり対策協会は「しろあり防除施工士」という資格を設けています。この資格を持つ人がいるかを、見積もりのときに聞いてみるとよいでしょう。
資格があるだけで良い業者と決まるわけではありません。説明の分かりやすさ、見積書の細かさ、保証の中身をあわせて見ることが大切です。いくつかの目安を組み合わせて、納得できる業者を選びましょう。
よくある質問
Q. シロアリ駆除に適した時期はありますか?
A. シロアリ駆除は、被害やサインに気づいた時点で早めに動くのがいちばんです。シロアリは1年中活動しているため、季節を待つ理由はあまりありません。
ただし、羽アリが飛ぶ時期はサインが見つかりやすい時期でもあります。ヤマトシロアリは4〜5月の昼、イエシロアリは6〜7月の夜が目安です。この時期に羽アリを見かけたら、そのまま点検を頼むきっかけにしてください。
反対に、羽アリが出ていないから安心というわけではありません。床のきしみや蟻道(ぎどう=土でできた細いトンネル)に気づいた場合も、季節を問わず相談して大丈夫です。
Q. シロアリ駆除や予防は何年ごとに行えばよいですか?
A. 薬剤の効果は約5年が目安のため、5年ごとの処理を考えておくと安心です。新築時の防蟻処理(シロアリを防ぐための薬剤処理)も、同じく約5年が目安とされています。
業者の保証も5年が一般的なので、保証が切れる前に点検を受けると、切れ目なく家を守りやすくなります。築5年を過ぎて何もしていない家は、一度床下の様子を確かめてもらうとよいでしょう。
ベイト工法(毒えさで巣ごと退治する方法)を選んだ場合は、年数ではなく定期点検とえさの補充で守る形になります。工法によって考え方が変わる点も、契約の前に確かめておきましょう。
Q. 駆除の作業中、家にいても大丈夫ですか?
A. 多くの場合は家にいられますが、作業の前にいくつか準備をしておくと安心です。床下に薬剤をまくバリア工法では、においが気になることもあります。
- 洗濯物は室内に干すか、作業後に干す
- 食器や食品は戸棚にしまい、ふたをする
- ペットや水槽は作業する部屋から離す
- 作業後はしばらく窓を開けて換気する
小さなお子さんや、においに敏感な方がいる家は、事前に業者へ伝えておきましょう。薬剤の種類や作業時間を聞いておくと、当日の予定も立てやすくなります。
作業はバリア工法なら1日ほどで終わることが多いので、外出の予定を入れておくのも一つの方法です。
Q. 賃貸住宅でシロアリが出たら、費用は誰が負担しますか?
A. 賃貸住宅の場合は、自分で業者を呼ぶ前に、まず大家さんや管理会社に相談してください。建物の手入れは貸す側が行うことが多く、勝手に手配すると費用の話がこじれることがあります。
負担の考え方は、日本しろあり対策協会のよくある質問でも説明されています。羽アリや被害の写真を撮っておくと、相談がスムーズに進みます。
Q. シロアリ駆除の費用は、確定申告で戻ることがありますか?
A. シロアリの駆除にかかった費用は、雑損控除の対象になることがあります。雑損控除(ざっそんこうじょ)は、災害などで受けた損失を所得から差し引ける仕組みです。
対象になるのは被害を受けたあとの駆除の費用で、予防だけの費用は対象外です。条件や計算の方法は国税庁の雑損控除のページで確かめられます。業者の領収書や見積書は、申告に備えて捨てずに取っておきましょう。
まとめ
シロアリ駆除は、サインを見つけたら早めに床下の点検を受けるのが基本です。そのうえで工法・費用・保証を複数の業者で比べて決めると、損をしにくくなります。「様子を見る」よりも「まず点検を受ける」ほうが、結果として費用も手間も小さく済みやすくなります。
シロアリの被害は床下など目に見えない場所で進むため、気づいたときには広がっていることも少なくありません。だからこそ、羽アリや蟻道(ぎどう=土でできた細いトンネル)といったサインに気づいたら、早めに動くことが大切です。
この記事でお伝えした内容を、順番にふり返ってみましょう。
- 羽アリ・蟻道・フン・床のきしみなど、家のサインを確かめる
- サインがあれば、殺虫スプレーなどで散らさずに早めに点検を頼む
- バリア工法かベイト工法か、費用と保証の中身を複数社で比べる
- 薬剤の効果は約5年が目安なので、5年ごとの予防を予定に入れる
費用は床下の面積と工法で大きく変わります。同じ家でも、業者によって単価や追加料金の条件が違うことがあります。1社だけの見積もりで決めず、施工面積・単価・保証期間を並べて比べると、金額の理由が見えてきます。
また、駆除が終わったあとの予防も欠かせません。家の周りに木材や段ボールを置かない、通気口をふさがないといった習慣は、明日からでも始められます。定期点検とあわせて続けることで、大切な住まいを長く守りやすくなります。
「うちもそろそろかな」と感じたら、まずは今の家の状態と費用の目安を知るところから始めてみてください。
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